研究概要 |
光干渉計測によって空間的にインコヒーレントな多色物体の3次元的形状と連続スペクトルを同時に取得する計測原理,すなわち光が伝達する物体情報のうち偏光を除いた全てである3次元空間情報と分光情報の同時再現を可能とするアイデアは従来にはなく,また,このような広義の光干渉イメージングの実現を目的とした報告も代表者の知る限りみられない.本研究の目的は,代表者が米国光学会誌に発表した上記3次元物体の干渉分光イメージングを実現する新しい原理をさらに拡張し,学問的に体系化すると同時に実験的に検証し,世界初のファーストイメージを獲得することにある. 研究期間を通じ,提案原理を検証する実験システムの構築を進めるとともに,システムの性能評価・潜在的問題の抽出をおこなった.その結果,多色物体の準単色成分に関する物体波の空間位相分布は,測定された5次元インターフェログラムに対し,今回考案された合成開口処理を適用することにより得られる体積インターフェログラムから決定可能であることを確認した.一方,物体波の空間位相分布に関する測定精度を向上させるためには,短時間で多次元のインターフェログラムを取得できる高スループットな干渉計測システムの開発が望ましいことがわかった. また,新たな理論展望としては,今回の合成開口処理とは異なる検出器の位置を移動させる必要のない新しい手法と,その実装法を考案し,この手法においても今回原理検証された手法と同質の再生像が得られることを,シミュレーションにより確認した.この方法は高スループットなシステムが構成可能であることから,今後の進展が期待できる. 干渉分光イメージングの原理に関する学問的体系化に関しては,多様な多次元インターフェログラムに含まれる光源情報のさらなる様態解析と,光源像再生手法の統一的記述が課題である.
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