研究課題
基盤研究(B)
光論理ゲートは、従来の光電変換方式に比べて、(a)周波数限界の打破、(b)消費電力の低減、(c)構成素子数と装置体積の低減を躍進させると期待される。本研究では、200〜400GHzクラスの光論理ゲートの原理実証と周波数特性基礎理論の体系化を目指し、基盤研究を実施した。主要成果の概要を、以下の3項目(1)〜(3)に分けて報告する。(1)超高速光論理ゲート出力に混入する波形歪の要因分析とその実験的検証DISC型光論理ゲートの超高速動作特性をモデル化して調査した結果、ゲート出力に微小サブパルスが混入しやすいという、重大な課題を発見した。この波形歪要因は、ゲート構造に起因する原理的要因であった。その後実際にビットレート100Gb/s相当の超高速光信号を用いて、微小サブパルスの実在と特徴の検証に世界で初めて成功した。本研究で発見した歪要因は、NEC研究所(2000-2001年)、ルーセント研究所(2001-2002年)、アイントホーフェン大学(2005-2006年)が研究発表した「世界最高速度のゲート動作実証実験」において実際に内在し、少なからぬ影響を与えていたと考えられる。(当研究グループでは、現在、歪を除去する新規ゲート構造を研究開発中。)(2)半導体光増幅部の第2緩和時定数の影響評価上述の課題(1)と並行し、第2緩和時定数の影響評価を世界で初めて試みた。その結果、従来の推定に反して、第2緩和時定数が出力歪成分を抑制し得ることを発見し、かつ、歪抑制条件を実験的に検証した。この成果も、今後の100Gb/sを越える超高速ゲート設計開発に必要不可欠な重要成果と考えられる。実際に、世界最高周波数更新(336Gb/s)に成功した学会発表(アイントホーフェン大学、2006年3月)で、早速、本成果の論文(2006年1月出版)が引用された。(3)光論理ゲートを応用した高周波光パルス信号発生の研究光論理ゲートの40〜400GHz動作特性研究方法には、2種類の方法ある。第2の方法は、光論理ゲートの出力を入力に正帰還し、光論理ゲート自体に自発的に超高速光信号を発生させる方法である(この方法では、原理的に、入力光信号を準備する必要が無い)。この方法により、160GHz光多重信号相当の2ps短パルスの自発的発生に成功した(本年5月に米国CLEO学会講演、および、報道発表)。[本成果(3)に基づき、従来方式に無い独自の長所を持つ超短モードロック光パルス発生方式や超高速光クロック光源方式の研究開発へと、本基盤研究が新たな発展を始めている。]
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Optics Express 14・1
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Optics Express vol.14,no.1
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