本研究は、フェムト秒レーザーを用いたホログラフィにより光の伝播の様子を連続画像として観察する技術を開発し、それを超高速現象の観察・計測に応用することを目的としている。本年度の研究成果は以下の通りである。 1.ホログラムの作製と光波面の観察 購入したモードロックTi:Sレーザーを用いて基本的なホログラムの記録光学系を組み、ホログラムの作製を行った。発振波長は700〜900nmの間で選択できるが、使用できる記録材料の感光域が限られていること、赤外ビュアーなどを使わずに眼で観察しようとするには、中心波長720nm程度が限度であり、この波長領域では記録材料としてアグファ8E75HD乾板を使ってホログラムが作製できることを確かめた。 2.観察位置による光波面の形状の変化についての解析 基本的な光学系により作製したホログラムから再生される光波面の像は、観察位置によってその傾きが異なることが観察される。この現象について理論的に解析した。この傾きは、参照光と物体光の光路長がホログラム面上で一致するための物体光点の軌跡として求められ、計算結果は実験結果と一致した。 3.アレイイルミネータから出射される光パルスの観察 アレイイルミネータは、入射した1本のレーザービームから多数の平行なビームを発生させるための素子である。光パルスが入射すれば、一定の時間間隔をもって順次多数の光パルスが出射されるが、その現象を鮮明に捉えることができた。この際、出射される光パルスの面は出射方向によって異なること現象が観察された。これを説明するための理論解所を行った。
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