研究分担者 |
鈴木 厚 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (60284155)
塩谷 隆二 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (70282689)
藤野 清次 九州大学, 情報基盤センター, 教授 (40264965)
田上 大助 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (40315122)
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研究概要 |
本年度の研究実績は以下の通りである. 1.有限要素法を用いた大規模磁場問題の数値計算 磁気ベクトルポテンシャルAと電気スカラーポテンシャルφを未知関数とするA-φ法を用いた,時間調和な渦電流問題に対して階層型領域分割法を適用し,並列環境におけるこの手法の有効性を示した.また,用いた階層型領域分割法を磁気ベクトルポテンシャルAを未知関数とする非線形静磁場問題へも適用し,その有効性の検討を行った. 2.連立1次方程式に対する有効な反復解法の開発 3次元有限要素解析で現れる対称正定値行列を係数行列に持つ連立1次方程式を前処理つきCG法を使って高速にかつ精度よく解く方法について研究した.また,境界要素法で離散化された電磁波散乱問題で現れる非対称複素密行列を係数行列に持つ連立1次方程式に対する新しい前処理法を提案し,その有効性を検証した. 3.有限要素法コードのベクトル化の実装と部分構造反復法の改良 有限要素法コードは非構造の疎行列を扱うため,ベクトル化が容易ではないが,合同な部分領域への分割による並列演算ループをベクトル化に転用することで,実装の容易なベクトル化手法を構成した.地球シミュレータで,ワークステーションの5倍強の演算速度を得た.また,正射影付の剛性行列で表される有限要素方程式に対して部分構造反復法のアルゴリズムを構成した.これは剛体運動などの自由度を持つ問題に対して部分領域毎に制約条件下で解を構成することと,全体領域で拘束条件に対応する問題を解くことからなる. 4.有限要素法による熱対流問題の数値解法の誤差評価 ジュール発熱を伴う熱対流問題の有限要素法に対する誤差解析を行い,最適な誤差評価を得た.また誤差解析が示された手法を用いて数値計算を行い,誤差の収束比率などの理論的結果を数値実験において確認した.さらにガラスの簡易電気溶融炉モデルへの適用も行った.
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