| 研究概要 |
本研究では,将来の高速車輌や航空機における積層複合材構造の信頼性・安全性の一層の向上を図るため,異物衝突や経年劣化による損傷を非破壊的・自動的かつ実時間で検出するヘルスモニタリング法の確立を目的とした.本研究により得られた主要な成果は以下の通りである.
1.圧電センサを組み込んだCFRP積層板およびアルミニウム板について,センサ応答から衝撃荷重の位置,および履歴を実時間で同定する衝撃荷重同定法を確立し,インパルスハンマーによる打撃実験によりその有効性を検証した(論文1-3).本手法は,従来開発された手法と比べ,短時間(異物衝突後2〜3秒以内)および高精度の衝撃荷重同定を行うことができる.さらに,本手法により推定した最大衝撃荷重を用いて,衝撃損傷の大きさを見積もることができ,実時間での衝撃損傷モニタリングが可能となった.
2.圧電アクチュエータと圧電センサを用いたアクティブセンシングによるヘルスモニタリング法を開発し,CFRPクロスプライ積層材のマトリックスき裂を定量的に検出する手法を確立した(論文5-6).圧電アクチュエータで発生させたラム波を圧電センサで計測し,周波数/時間領域で信号処理することにより,マトリックスき裂の数を正確に評価することが可能となった.
3.高精度弾塑性解析のための新たな有限要素を開発した(論文4).本要素を積層複合材に拡張すれば,損傷を受けた積層複合材の高精度振動・波動解析が可能となり,現在,振動・波動解析用の有限要素プログラムの開発を進めている.
|
