研究概要 |
初年度、(1)四足動物と人の差異も明示、(2)モニターシステムの非侵襲性、(3)変性の異なる椎体への適用性、(4)モニターシステムのコンパクト化の基本設計から成る4項目を重視した取り組みにより、以下に示す結果を得た。術中モニターのプロトタイプを作製し、先ず豚と人腰椎FSUにおける運動特性を測定し、ヒステリシスループ形状が逆になり、明らかに異なることを詳細に示した。更には、屈曲-伸展運動に伴う特性曲線から、剛性値,Neutoral. Zone.,吸収エネルギーを求め,それぞれのC.V.値により運動安定性と測定精度の再現性を検討し、1椎間に対し6往復の屈曲伸展運動を6セット繰り返し,計36回の測定を行う条件下であったにも拘わらず,かなりの高い精度で結果が得られることを示した。これはコンピュータ制御と独自の把持機構の採用に基づいており、一定負荷を正確な速度で与え、臨床現場での術者個々の操作技術の違いによる測定誤差もほぼ避けられることを示した。他方、人脊椎を使用した実験を行い、把持する棘突起部の組織損傷はほぼ認められず,Brownらの装置ではヒトに対して最大133Nの作用下で293例中7例の棘突起骨折を認めた報告に比べても比較外の安全性と非侵襲性を本装置が有していることを確認した。X線とMRI像より椎間板変性度が正常〜軽度椎間3例.中度の変性椎間3例.異常運動を伴わない中度変性椎間5例と椎間板に高度変性を伴う椎間3例に対して整形外科医である共同研究者が実測をした結果、画像所見と本装置による可動性の結果には明らかな関連性が認められ,椎間板に高度な変性が見られる場合には大きな剛性を示し,運動異常が認められる場合には,N.Z.の増加と吸収エネルギーの減少が認められることを明示した。これにより、モニターシステムとしての有用性を確認すると共に臨床応用時のコンパクト設計を行う上での十分な基礎的データを得た。この様に、当初の計画をやや上回る速度で進行中である。
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