研究概要 |
セラミックス-金属系傾斜機能材料(FGM)を耐熱構造材料として実用化し,信頼性を確保するためには,FGMの材料不均質性・傾斜組成を考慮した解析手法の開発と強度評価法の確立が重要である.本研究では,FGMの組織の不均質性・傾斜組成を考慮した解析手法の確立,常温から高温まで試験可能な小型試験片用冶具の開発,FGMの強度評価とその手法の確立を目指して研究を行った. 1.FGMの解析手法の開発 マイクロメカニクスの手法を用いて、FGMの不均質・傾斜組成を考慮したマトリッシティモデルを開発し,さらに有限要素法に組み込むことにより,FGMの変形挙動の解析手法を確立した。 2.FGMの強度試験法の開発 粉末冶金法により作製されるFGMの寸法は直径30mm,厚さ10mm程度であり,小型の試験片により,かつ,材料傾斜の特性が現れる試験法を開発する必要がある.FGMの破壊試験法,破壊靭性値の分布を評価できる試験法,疲労試験法,疲労き裂進展試験法を考案し,小型試験片用で,かつ,高温炉の中で試験できる冶具を開発した. 3.FGMの強度試験 部分安定化ジルコニア(PSZ)とオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)からなる各組成の非傾斜複合材料およびFGMを作成し,弾性係数,破壊強度,破壊靱性試験,き裂進展試験を常温,高温下で行い,強度特性に及ぼす不均質・傾斜組成の影響,試験温度の影響を明らかにした. 以上の研究成果より,傾斜機能材料の破壊機構,強度特性に及ぼす微視組織,傾斜組成の影響,マイクロメカニクスおよび破壊力学に基づいた強度評価・予測法の指針を明らかにした.
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