研究概要 |
室温における金属板材の集合組織異方性+大ひずみ繰り返し塑性変形挙動の実験観察とそのモデル化について研究を行った.材料としては,種々の強度レベル(330,440,590,780,980Mpa)を持つ鋼板とアルミニウム合金(A5083-0)を用いた.得られた主な結果は以下のとおりである. (1)板材の集合組織異方性を観察するための二軸引張り試験を十字型試験片を用いて行った.今年度はアルミニウム合金を中心に実験を行った.その結果,アルミニウム合金の降伏曲面はvon Misesの条件には従わず,Logan-HosfordまたはBarlatの条件で比較的うまく記述できることがわかった.また,高強度鋼板の実験も行うことができる二軸引張り試験装置の開発を行い,その動作確認を終了した. (2)大ひずみ繰り返し塑性変形挙動の実験観察を主に鋼板について行った.これにより,バウシンガー効果および繰返し加工硬化の特性について明らかにすることができた. (3)集合組織異方性+大ひずみ繰り返し塑性変形挙動を記述するための構成モデルを提案した.これによる応力-ひずみ関係の数値シミュレーション結果は実験結果と良く一致し,モデルの妥当性が検証された. (4)結晶塑性モデルにより繰返し塑性変形挙動の数値シミュレーションを行った.特に,結晶構成式に背応力の発展を考慮したモデルについて検討を行った.
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