研究分担者 |
米山 聡 東京理科大学, 工学部, 助手 (90306499)
村澤 剛 山形大学, 工学部, 助手 (90348467)
三澤 章博 神奈川工科大学, 機械工学科, 教授 (00148123)
長 秀雄 青山学院大学, 理工学部, 助手 (60296382)
田中 秀明 青山学院大学, 理工学部, 助手 (70082865)
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研究概要 |
自動車タイヤは,高加速度,急停車,低温,高温度などの過度な条件で用いられ,さらに近年深刻化する環境問題から,タイヤの転がり抵抗の低減が求められるようになっている.企業では様々なゴム材料(粘弾性材料)により,タイヤを複合構造とすることで,転がり抵抗の低減や乗り心地,ブレーキ性能の向上への取り組みが行なわれている.しかしこうしたタイヤの性能は一方を向上させると他方が悪化するという二律相反の関係がある.現状では求める性能に対し適した構造を決定する際に,多種多様なタイヤモデルをFEM解析を通じて比較することで経験的に行なわれているが,未だ粘弾性特性や異種材料間の境界面および境界付近の残留応力などを考慮した力学的な立証が為されていない.本年度は上述の諸問題を念頭に置きながら,タイヤの転がり抵抗を低減するための第一アプローチとしてタイヤのような複合構造における高分子材料の時間および温度に依存する力学的・熱的挙動の基礎研究を行った.まず,白色楕円偏光を用いた光粘弾性法を積層ソリッドタイヤの回転接触負荷問題に適用するため,青の光を吸収せず,異なる力学的特性で積層構造を形成出来る光粘弾性用の樹脂を選定した.その樹脂により積層ブロックを形成し,垂直荷重下と垂直せん断合成荷重下における主応力差および主応力方向を光弾性実験により決定し定量的に比較した.ソリッドタイヤの回転接触負荷試験では,白色楕円偏光を用いた光粘弾性法の適用を試み,ソリッドタイヤ構造,回転速度,実験温度の相違による光粘弾性実験を行い,しま分布の違いを定性的に、しま次数の時間変動を定量的に評価した.また,ソリッドタイヤの回転を持続させ繰り返し負荷を与え発生する熱分布を構造ごとに比較をした.これらの取り組みは,積層構造各部の時間・温度依存性の力学挙動が,積層構造や構造を形成する材料の種類により異なるということを明確にし,タイヤの転がり抵抗低減の粘弾性力学の観点からの実験的第一アプローチとして,今後の研究の布石を敷いたと言える.
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