研究概要 |
腱や靭帯などの生体組織は,階層構造をなしており,コラーゲン線維束,線維,原線維やそれらを包む膜状の腱鞘からできている.このため,腱や靭帯の力学的反応を把握するには,これら微細構成要素の構造と力学的性質の関係を明らかにすることが重要である. そこで,本研究では,ラットやマウスの腱・靭帯を微細構成要素に分解して,それら構成要素の力学的性質と構成要素同士の力学的相互作用について検討し,力学的環境の変化に対する生体組織の適応制御のメカニズムを解明することを目指している.本年度は,腱や靱帯の微細構成要素であるコラーゲン線維の微細構造と力学的性質の関係を解析するための手法を確立した. 微分干渉顕微鏡,近赤外微分干渉顕微鏡,プローブ顕微鏡を用いて,ラットやマウスより摘出した尾腱,膝蓋腱の微細構造を観察し,構成する微細要素であるコラーゲン線維束,コラーゲン線維およびそれらを包む膜状の腱鞘などの関係を正確に把握するとともに,顕微鏡観察下で,これら微細構成要素を腱や靭帯から摘出することができた.また,我々が開発したマイクロ力学試験装置を用いて,得られた試料の微細構造を微分干渉顕微鏡で観察しながら引張試験を行うことができた.
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