研究概要 |
カタログとWebサイトとをとおして,市販されている5軸制御マシニングセンタの構造形態を調査した。その結果,立て形と横形の2つの形式と,テーブル側に旋回2軸をもつテーブル旋回形,主軸頭側に旋回2軸をもつ主軸頭旋回形及びその中間である主軸頭・テーブル旋回形の3つの形式があることを明らかにした。これらを軸配置にも基づいて分類を行った結果,日本国内では24種類の異なる構造の5軸制御マシニングセンタが製造されていることを明らかになった。 これらの異なる構造形態に対応する同時多軸制御運動の適用の可否を検討し,とくにボールバーを使用することを想定して同時多軸運動制御を行うときに必要になるジグの形状について検討した。同時に,機構解析シミュレーションソフトによる解析を行ってその運動の実現性を明らかにした。その結果,同時4軸制御運動を行うことによって,5軸制御マシニングセンタに存在する偏差13個のうち,旋回軸に関係する誤差8個をすべて推定できることを明らかにした。また,同時5軸制御運動を利用した方が測定回数が少なくてすむだけでなく,ジグが簡単になることを示した。 また,同時3軸制御による測定方法についても検討し,テーブル旋回形,主軸頭旋回形及び主軸頭・テーブル旋回形の3形態の5軸制御マシニングンセンタに対応する近似式とその測定方法を明らかにした。その結果,1マイクロメートル以下の誤差で機構に存在する8個の誤差を高精度に推定できることを明らかにした。 また,同時4軸及び5軸制御を併用することによって,従来不可能であると考えられていた構造形態についても固有の偏差を推定する方法をシミュレーションをとおして明らかにした。しかし,実機による同時多軸制御運動を利用した誤差の同定については,実験を行う準備を完了した。
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