研究概要 |
1.空気静圧案内面を運動縮小機構として利用した超精密位置決め装置の設計と製作について 本年度の課題は超精密位置決め実験装置の設計とそれに基づく実験装置の製作である。製作された実験装置は能動制御空気静圧案内面により案内されるXY2軸の位置決め軸を持ち、粗動、微動、極微動の3つの位置決めモードを持つ。粗動モードにはACサーボモータで駆動されるツイストローラ摩擦駆動機構を用い、そのストロークは40mm、位置決め分解能は5nmである。微動モードには上記サーボモータの取り付け部の弾性ヒンジに組み込まれた圧電素子で駆動される微動機構を用いる。そのストロークは約100nm、分解能は50pmである。極微動モードには空気静圧案内面に組み込まれた能動自成絞りによる運動縮小機構を用いる。そのストロークは約50nm、分解能は現状では20pmで、最終的には10pm以下をめざす。 空気静圧案内面は角軸を4枚の静圧パッドにより取り囲む構造である。各静圧パッドの中央部には負荷支持のための表面絞りが加工され、両端部には位置決め制御のための能動自成絞りが組み込まれる。1枚の静圧パッドには能動自成絞りが4個組み込まれており、装置全体では32個の能動自成絞りが組み込まれる。これら32個の能動自成絞りにより極微動モードでのX, YそしてZ方向の位置決めを行う。 粗動、微動モードに用いるツイストローラ摩擦駆動機構には不可避なラジアル方向振れが存在し、テーブル運動の真直度に影響していた。そこでこのたびの実験装置では、ツイストローラ摩擦駆動機構のラジアル方向振れがテーブル運動に影響しないよう、静圧軸受を用いたカップリングを新たに設計製作した。その結果、長距離移動でのテーブル運動精度が向上した。 2.光ファイバ変位センサの分解能向上について 本年度は上記の位置決め実験装置の設計・製作において、主要部品をすべて新たに設計、製作したために多大な時間を要した。その結果、予定していた光ファイバ変位センサの性能向上は十分行えなかったが、センサ出力を低ノイズで10,000倍に増幅できる精密直流増幅器を設備することで、検出分解能を所望の1pmに高める見通しはついた。
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