研究概要 |
半導体やプラズマディスプレイなどに代表される各種電子デバイスの高密度化にともない,これらの製造装置の運動・位置決め精度にもナノメータオーダの性能が要求されている.その主要構成要素の一つであるテーブルシステムの位置決め機構には,従来から摩擦駆動や電歪素子を採用した微動機構などが提案されている.しかし,これらの機構において,位置決め機構がテーブルに及ぼす外力に起因したテーブルの運動誤差が問題となっている.本研究では、従来の電気粘性流体をゲル構造に置き換えることを考え,これを微小位置決め機構のクランプ機構に適用することを提案している.すなわちゲル構造の電気粘性流体を開発し,これを半導体製造装置などに使用される超精密テーブルシステムのナノ位置決め機構に必要とされる,テーブルクランプ機構に適用することを目的として平成15年度から3年間の計画で研究を遂行してきた. 平成16年度においては、前年度に開発したゲル構造電気粘性流体を用いたクランプ機構の試作を行い,その性能評価を行った.静か圧空気案内方式の精密テーブルシステムに電気粘性ゲルを装着したテーブルクランピング機構を組み込み,これに電場を印加することで発生するクランプ力と,これにともなうテーブルの微小な位置ずれの測定を行った.その結果,試作したクランプ機構は実用上十分なクランプ力を発生すること,またクランプ動作にともなうテーブルの微動はほとんど発生しないことが明らかとなった.一方,電気粘性ゲルとテーブルクランプ面の位置決め精度がクランプ力の発生に強く影響するため,クランパの取り付け精度を向上するための対策が必要であることが指摘された.平成17年度は,以上の結果をふまえて,テーブルクランプ機構の改良を行う予定である.特に,クランプ機構に片側構造電極を採用し,移動体側の高圧電気配線を不要とすることにより,実用化に向けた適合性の向上を図る計画である.
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