研究課題/領域番号 |
15360075
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
難波 義治 中部大学, 工学部, 教授 (40029129)
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研究分担者 |
大西 直之 中部大学, 工学部, 助教授 (60201977)
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キーワード | Pt / C多層膜 / 超高圧透過型電子顕微鏡 / レプリカ反射鏡 / 斜入射X線望遠鏡 / X線多層膜の設計 / 離型 / 無電解ニッケル非球面金型 / 超精密ダイヤモンド切削 |
研究概要 |
本研究では、硬X線用多重薄板多層膜レプリカX線望遠鏡を製作するための基盤技術としての無電解ニッケル製超精密非球面金型の超精密ダイヤモンド切削と研磨、非球面金型の超精密形状計測法の検討、Pt/C多層膜の成膜技術の確立、レプリカ製作技術の検討、多層膜のナノ構造解析と多層膜の設計、レプリカ多層膜の表面のナノ構造解析を行った。超精密加工と機上での形状計測を繰り返すことにより、放物面と双曲面からなる無電解ニッケル製非球面金型を形状精度100nm代の加工を実現した。その金型表面に重元素Ptと軽元素Cを一定の厚さで交互に、多数積層した準周期的な層状構造を持ち、X線を分光・集光・結像させる多層膜を名古屋大学並びに宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部で成膜した。その離型に関しては、金型とPt/Cとの離型性を良くする方法を検討し、界面にTi膜をコーティングする方法を開発し、平面・円錐面では硬X線領域で使用できる滑らかなPt/C多層膜レプリカ反射鏡を製作できた。直径100mmの放物面・双曲面からなる非球面金型からのPt/C多層膜の離型は、多層膜と基板との接着強度がTiと無電解ニッケルとの界面強度より低く、成功に至らなかった。イオンビームスパッタ法によりフロートガラス基板上に周期長を4nmから1.5nm、積層数10層のPt/C多層膜を成膜し、X線反射率を測定すると共に、多層膜のナノ構造を超高圧透過電子顕微鏡(HVTEM)観察した。その結果、Pt/C多層膜の微細構造は、Pt層が面心立方構造の多結晶膜で、(111)面に配向する繊維配向膜で、C層が非晶質膜であり、その界面は物質同士の拡散がなく、理想的な積層になっていること、周期長が短くなると、Pt膜の配向性が崩れ、島状の成長が顕著となり、界面の粗さが悪化すると共にPt密度が低下し、X線の反射率が大幅に低下することを明らかにした。
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