研究概要 |
微細化した組織を有するマグネシウム合金板材製造することを目的として,超音波や電磁振動させた溶湯を用いる双ロール鋳造実験装置を用いて実験を行なった.鋳造温度,ロール周速,上下ロールギャップ設定値,と板材の板厚さとの関係を明らかにすることができた.本実験においては上下ロールギャップの設定値は重要な要素であるが,一次元凝固モデルを用いて板厚さの予測が可能である.また,温間圧延パスと深絞り試験の結果から,板材を製造するのに適した条件があり,温間圧延の圧下率を大きく取ることが望ましい. また,板材の結晶組織と温間圧延パスの材料学的な調査においては,双ロール鋳造実験装置を用いて製造された板材の鋳造組織を明らかにした.どのような製造条件であれば,柱状組織が支配的なのか,あるいは等軸晶が支配的になるのかを調査した.温間圧延の過程では,加工組織に変化する際の,圧延ロールの温度,焼鈍温度,圧延パスの影響を明らかにした.あわせて結晶組織の観察もおこなった.本加工プロセスによる結晶粒径は,小さいもので1μmのものから5μm程度のものが得られることを明らかにした. 凝固解析におけるIT親和性加工モデルの構築では,溶湯の凝固解析における境界条件の設定方法を決定し,凝固解析IT親和性加工モデルを提案する.昨年度検討した溶湯-ロール間の推定熱伝達係数を使用して,本数値モデルの解析が妥当な解を得ることができるかを検証した.さらに,材料の凝固,変形モデルの構築し,溶湯-ロール間の推定熱伝達係数を用いて,コントロールボリューム法によるFEM解析を行った.双ロール鋳造の熱収支,凝固・変形の解析を行い,実験で得られた適切な製造条件が解析においても反映されるかを調査した. また,本方式で行なったロールを加熱式温間圧延プロセスと板材の成形加工性の調査においては,圧延温度,圧下率,圧延パス,焼鈍温度を変化させで,温間圧延条件と結晶組織,得られた板材の機械的性質,塑性加工性の詳細な関係を明らかにすることができた. また高強度マグネシウム合金である,AM50,AZ61,AZ91においても本プロセスによって加工性のよい展伸材が得られること明らかにした.得られたLDRは,AZ91で2.4,AZ61ではで2.6の成形が可能なマグネシウム合金が得られ,本法の有効性が確認できた.
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