研究概要 |
次世代に実用化が嘱望されている線幅0.1μmのギガビット級超LSIの量産の為には,サブミクロンからナノメートルオーダの位置決め精度が高速で実現できる超精密位置決めステージが必要不可欠である.このような背景に基づきナノメートル位置決めのための摩擦駆動機構の確立することを最終目的として,1年目の本年は,摩擦駆動部における摩耗特性の予測法及び制御のためのモニタリング法を確立し,その有効性を実証した. 得られた主要な結果は,以下の通りである. 1.超音波モータ,リニアガイド及びそれら最適取り付けのための評価法として,超音波モータのオープン駆動時における被駆動ステージの速度及びその移動方向に対する均一性を導入良好な駆動特性を実現するための最適初期設定を可能にした. 2.超音波モータのオープン駆動時における被駆動ステージの速度を最大とする最適予荷重が存在することを実験により明らかにし,この予荷重において最も効率の良い摩擦駆動が可能であることを明らかにしたさらに,摩耗形態と予荷重の相関を実験的に明らかにした.これらにより,良好な駆動特性及及びマイルド摩耗を実現するための予荷重の最適設定法を提案した. 3.摩擦駆動中の接触面における接触の過酷さを表すパラメータとして,駆動中常時制御されている超音波モータへの指令電圧の変動値E_fを導入し,この値によりマイルド摩耗-シビア摩耗遷移の予測が可能であることを理論と実験により明らかにした. 4.駆動特性から設定される荷重(10-14N)条件においては,Mild摩耗で駆動するための臨界指令電圧変動値E_fは,約0.6Vであることを理論に基づき導出し,実験結果との比較によりその妥当性を実証した.
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