本研究ではX線CT装置による実体計測技術をベースとした新しいエンジニアリングを実現するためのモデリング技術について研究している。15年度はポリゴン生成機能を重点的に研究した。CTデータから物体の表面を表す3次元のポリゴンデータ(メッシュデータ)を生成する。このような処理を等値面抽出というが、次のような課題についていくつかの成果をあげた。 1.非多様体ポリゴンデータ構造 通常の等値面抽出では2多様体曲面(閉じた多面体)を前提としているが、本研究では、以下で述べるように非多様体のポリゴンモデルを扱う必要があるため新しいデータ構造を実現した。 2.多媒質境界抽出 アルミ、鉄、空気の3媒質などの場合、従来の等値面抽出では、うまくいかない。例えば、多数の媒質が出会うところの非多様体を生成する手法を開発した。 3.中立面生成機能 プレス部品のような板構造はソリッドではないので、従来の等値面抽出法を適用することができない。板の中立面に相当するボクセルからポリゴンを生成する方法について研究した。 特に、CTデータから面貼りに必要な情報と領域を抽出する3次元の画像処理アルゴリズムと、それに対して面を生成するMarching-Cubeabilityという概念を創案し、新しいアルゴリズムを作った。その枠組みによって、上記の非多様体の面生成と中立面生成が同じ体系の中で統一的に実現できることを示すことができた。これらの機能を実現するプログラムを試作し、実際に計測したエンジンヘッドや板金部品のCTデータに対してプログラムを適用した評価検証を行った。
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