研究概要 |
本研究では,高剛性で,広い作業領域が確保可能な新たなパラレルメカニズムとして,平面運動は平面案内テーブルで,空間運動は空間3自由度パラレルメカニズムで創成する工作機械用機構を提案し,同機構を用いた工作機械の開発を行うとともに,そのキャリブレーション方法,加工誤差の補正方法を提案する. 昨年度までに,工作機械用機構を設計するとともに,実際に製作を行った.また,同機構を用いて実際に切削加工を行い,その動作を確認した.また,加工経路誤差を抑制する機構の制御方法を提案した. 本年度は,同機構の校正による加工誤差の補正に関して検討した.すなわち,パラレルメカニズムは複数の対偶,リンクを接続して構成されるため,組み付けによる誤差,機構設置時の位置決め誤差は避けられない.これらの誤差はパラレルメカニズムを用いた加工機では大きく影響し,その位置姿勢決めへの影響を補正する校正方法の確立が強く望まれている.そこで,本研究では,以上の機構誤差を補正する方法として応答曲面法を用いることを試みた.応答曲面法は実験計画法に基づき決定された,いくつかの条件での応答関係から,対象とする条件全域の応答関係を近似する方法である.パラレルメカニズムにおいては,その人出力関係を測定すること自体が容易でないことから,少数位置での測定結果から作業領域全体にわたる校正が可能となれば,加工誤差の抑制が容易となる. そこで,本研究ではまず応答曲面法を用いることを用いた加工誤差の分布の推定を試みた.その具体的な手法を提案するとともに,実際にシミュレーションによって作業領域全体にわたる加工誤差の分布を精度よく近似できることを確認した.次に,加工誤差の分布だけでなく,機械誤差を補正する入力値を,応答曲面法を用いて求める方法を遺伝的アルゴリズムを応用して提案した.さらに,実際にシミュレーションにより機械誤差を与えたモデルに対して,その補正された入力を求めるシミュレーションを行ったところ,理想的な値が得られ,その有用性を確認した.
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