研究課題
スラリージェット式摩耗試験装置を用いて、PVDとCVDにより成膜されたTiN単層膜と二層膜に粒子径(公称)0.3μmと1.2μmのアルミナ粒子を含む水噴流を高速で衝突させ、皮膜の摩耗特性を研究して、以下の結果を得た。(1)最も高い基板温度で成膜されたTiNは、比較的低い硬さであるにもかかわらず、最も高い摩耗抵抗を示すことがわかった。TiN皮膜の摩耗率は表面に露出している結晶の配向性に応じて変わる。すなわち、高温での成膜において支配的である{111}配向は、{100}配向より高い摩耗抵抗を示す。これは結晶面での劈開破壊の大きさと相関があると考えられる。(2)PVDの二層膜(TiN+TiCN膜)の試験では、表面のTiCN膜の摩耗速度は一定であるが、徐々に減少しTiN膜に達した後、再び一定となる傾向が見られた。この挙動は、成膜時に、TiCN膜とTiN膜の中間層が両者の傾斜材となっていることと一致している。(3)CVDのTiC+TiN膜でも同様に、摩耗曲線ではTiCとTiNの傾きが異なる.(4)細かい粒子を用いると、二層膜の界面の摩耗率の変化がより明瞭になる.(5)本研究で提案している硬質皮膜の摩耗評価法を二層皮膜に適用した結果、本試験法が簡便に、また高信頼性で硬質皮膜の表面強度の評価に有用であることが一層明らかになった。(6)上記の結果から、本評価法を、マイクロスラリージェットエロージョン(MSE)法として、商標登録した。
すべて 2004
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Proc.of the 11th Nordic Symposium on Tribology, Tromso, Norway
ページ: 197-206