研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、超高密度磁気ディスク装置用のヘッド機構実現を目指して、5nm程度の超微小すきまで相対すべり運動する記録ヘッドの動的挙動を、ミクロ/ナノメータ領域における分子気体および分子液体による力学作用を考慮して詳細に解析しうるシミュレーションおよび物性評価の基本技術を開発し、これによりヘッド形状設計のための指針を得ることである。このため、分子レベルからマクロレベルにわたって、着目するスケールに応じた最適な解析手法を選択・駆使し、その結果を融合することにより(マルチスケール手法)、分子レベルのレオロジーからマクロレベルのスライダ動特性までを包括する解析手法の確立を目指した。平成17年度の研究実績を以下に示す。(1)液体超薄膜を考慮したインターフェースモデルの構築(液体メニスカスによるヒステリシス現象の解明):弾性変形する単一突起(球面)と液体ナノ薄膜で覆われた固体間の押し付け・引き離しの素過程に関するメニスカスの取り扱いについて、新たに、i)液体ナノ薄膜の不安定性によるメニスカスの形成、ii)液体ナノ薄膜より形成されるメニスカスの形状と表面力、iii)メニスカスの破断を総合的に考慮した固体間インターフェースモデルを構築した。(2)液体超薄膜の流動・変形特性の数値シミュレーション(種々の境界・初期条件による生ずる変形):液体超薄膜の変形・流動特性を、液体界面の変形を支配する長波方程式の時間発展問題として数値的に解き、予め存在する固体面粗さ、表面張力分布、液膜段差形状等によって変形する液膜形状の時間変化を定量的に求めた。さらに、メニスカスを有する液体薄膜ダイナミクス特性解明のためのLB膜による接触角制御データ、AFMを用いた凝着力計測データをそれぞれ蓄積するとともに、超微小すきまのダイナミクス解析で有用なCIP法を新たに有限幅スライダに適用し変動圧力を定量的に求めた。
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