研究概要 |
本研究はペーパーウェブと搬送系を対象とした紙と鋼ローラ間の摩擦特性を詳細に調べ,トラクション予測モデルを構築し,これを基に実システムへの応用を図ることを目的としている.平成15年度及び16年度において紙と鋼間の接触力学モデルを構築し,その妥当性を実験的に検証した.さらに,ウェブに発生するしわに関し,その発生に摩擦力が深く関わっていることを実験的に解明し,その予測モデルの構築にも成功した.平成17年度においては,これらの成果を取りまとめ,国際ウェブハンドリング会議(USA)で3件の論文として発表したところ,Best Paper Award並びに2005年度日本機会学会船井賞を受賞した. 平成17年度はこれらの成果をベースとして,さらに紙と鋼ローラ間のスリップ発生限界予測モデルの構築を行い,コート紙と非コート紙について広範囲の運転領域に関し,このモデルによる予測結果が妥当なものであることを検証している.以上の成果より,従来ウェブハンドリング技術上深刻な課題とされてきたウェブ搬送時におけるしわとスリップの発生限界を予測し得る理論モデルを完成させることができた.さらに,実験計測技術も確立し,これによって理論の妥当性を検証することもできた.現在これらの成果を基にウェブディフェクトを未然に防止できる搬送システムの提案を行い,特許申請の準備を進めている段階である.
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