研究概要 |
1.単一のノズルから発生し,曲りながら上昇する気泡列の周囲には特徴的な流れ場が存在すことがこれまでの研究成果より確認されたので,この特徴的な気泡列の生成過程を水プール中に連続して気泡径と発生頻度を制御した気泡列を生成させた観察した.初めて生成された気泡は,40mm程度の高さまではほぼ直線的な軌跡を通過したが,第二気泡以後は20mmの高さを通過した後曲がり,曲がり始めの点は10mm程度異なるがほぼ同じ軌跡を通るようになることが観察された.このことより,気泡列中の気泡がより大きな揚力を受けるのは,先行気泡によって形成された流れ場の影響であり,先行気泡の後流が,後続気泡挙動の決定に重要な役割を果たしていることを明らかに示しており,先行気泡の後流が後続気泡の不安定性,特に気泡形状の変形を生じ,気泡が曲がったと考察する. 2.次に,気泡列中の気泡間の相互干渉を調査するために,上昇する2気泡間での相互干渉現象に関して,実験的および数値的に考察した.従来の解析的および数値的研究によれば,中間レイノルズ数の2気泡は,はじめ前方気泡の後流の影響で後方気泡は接近するが,そのポテンシャルのために平衡距離を保ち上昇することが予測されている.しかし,従来の実験的研究において平衡距離は発見されておらず,気泡は衝突すると報告されている.そのパラドックスに対し本研究では,実験的では高精度に気泡の発生を制御できる装置を使用し,また数値解析ではDSD/STを用いた有限要素法解析コードにより現象の解明をはかった.その結果,気泡レイノルズ数が平衡距離に関しては支配的であることがわかった.実験的には高精度に制御し2気泡を発生させることにより,2気泡間に平衡距離が存在することを確認した.また,数値的にはレイノルズ数を減少させることにより,平衡距離の減少を観察し最終的には2気泡の接触にいたることを確認した.
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