研究概要 |
実用問題における複雑な内部流動を信頼性高く解析するためには,実験流体力学(EFD)および計算流体力学(CFD)による解析技術の欠点を補い合った新たな流動解析技術が不可欠であるという観点から,本研究では,EFDとCFDが真に融合した新しい内部流動解析技術を創出することを目的とし,EFD(計測)データとCFD計算との同化手法を新たに構築する. まず本年度は,CFD解析モデル(流れの基礎方程式)と計測データの差異を評価関数とし,CFD解析モデルを拘束条件とする4次元変分問題から導出される随伴方程式に基づいて,EFDデータとCFD計算とを同化させるプログラムをコーディングした. 次に,CFD計算と同化させるためのEFDデータとして,低速軸流圧縮機動翼列の旋回失速初生時におけるケーシング面圧力分布の時系列データ,および高速遠心圧縮機羽根なしディフューザの旋回失速発生時におけるディフューザ面圧力分布の時系列データを取得した.前者については,動翼列部を覆うケーシング面の軸方向および周方向に高応答圧力センサ(計30個)を埋設して,動翼列1ピッチ分のケーシング面圧力分布を同時に計測するとともに,その時系列変化を詳細に計測した.後者のデータ取得では,遠心圧縮機羽根なしディフューザ部の代表的な周方向位置に高応答圧力センサを埋設して,旋回失速発生時の非定常圧力変動を計測した.誤差解析の結果,いずれのEFDデータもCFD計算との同化に適用することが可能であることが分かった.
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