研究概要 |
1.ピッチング運動翼およびヒービング運動翼背面上の渦流構造と非定常揚力特性 (1)高無次元角速度のピッチング運動翼の迎え角増加時および高無次元ヒービング速度のヒービング運動翼のヒービング振幅減少時には,背面上に再循環領域が形成される.これらの動的挙動はピッチング運動翼の場合には翼形状に依存するが,ヒービング運動翼の場合には翼形状に依存しない. (2)ピッチング運動翼およびヒービング運動翼背面上に形成される再循環領域により,はく離が抑えられ,これらに働く非定常揚力および揚抗比は定常状態時に比べ増加する. 2.ピッチング運動翼およびヒービング運動翼後流の渦流れ構造と非定常推進力特性 (1)高翼後縁無次元速度のピッチング運動翼および高無次元ヒービング速度のヒービング運動翼の後流には推進力発生渦列が形成され,定性的にはほぼ同じ渦構造となる.しかしながら,ヒービング運動翼後流に形成される推進力発生渦列の渦度がピッチング運動翼後流に形成される推進力発生渦列の渦度に比べ大きいために,それに誘起される増速流も大きい. (2)ヒービング運動翼に働く非定常推進力はピッチング運動翼に働く非定常推進力に比べて大きい.ヒービング運動翼後流に形成される推進力発生渦列の渦度が高く,翼後流の増速流が大きくなるためである. (3)ヒービング運動翼の推進効率は最大20%程度である.ヒービング運動翼には推進力と同時に大きな非定常揚力が働くためである.一方,ピッチング運動翼の最大推進効率は40%である.ピッチング運動翼に働く非定常モーメントが大きくないために,ヒービング運動翼に比べて高い推進効率が得られる.
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