研究課題/領域番号 |
15360101
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
谷下 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776)
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研究分担者 |
小尾 晋之助 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (80233609)
藤本 啓二 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70229045)
池田 満里子 慶應義塾大学, 名誉教授 (00051368)
工藤 奨 芝浦工業大学, 工学部, 講師 (70306926)
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キーワード | バイオメカニクス / 脳動脈瘤 / 予見的研究 / リアリステイクモデル / 流体力学 / リスクファクター / 血管構造 |
研究概要 |
これからの高齢化社会では脳血管障害が深刻となるが、中でも脳動脈瘤は重篤な脳神経障害の原因となるので、その診断治療技術の向上が望まれる。しかしながらN. England Journal of Medicineの報告では、発見された脳動脈瘤の内破裂する例は、1%以下で殆んど破裂しない。しかし破裂すると危篤状態になるので、破裂の可能性を事前に予知する技術、即ちリスクファクターの確立が望まれる。現在の所、医師の経験から破裂の危険を予知している。そこで、本研究では信頼性の高いリスクファクターを確立するために、二つのアプローチを取る。一つ目は脳動脈瘤の実際の患者(破裂と未破裂の確定診断されている症例)の動脈瘤CT画像を元に瘤内の血流構造を実験及びCFDによって解析し、破裂の可能性との関連を探る。特に破裂した症例と未破裂の症例における瘤内の血流の構造について検討を行い、リスクファクターを提案する。実際の患者のCT画像を基にしたリアリステイクなモデルによる予見的研究(Prospective study)である事がポイントである。しかしながら、患者の臨床症例では瘤の血管壁の構造などの情報を得るのは不可能であるので、破裂という力学現象を十分に立証できない。そこで二つ目のアプローチとしては、ラットの脳動脈に瘤を誘発させ、誘発した動脈瘤の血管壁の構造から動脈瘤の発生と進行のプロセスを明らかにする。さらに、動脈瘤の発生進行プロセスは血管壁のミクロ構造の変化の積分値として認識されるため、血管壁の細胞レベルでの血流による影響と血管壁の構造変化について詳細に検討を行った。その結果、患者の臨床症例における瘤内の流れでは、破裂と未破裂の瘤内流れに有意な差が認められ、有用な診断指標となることが明らかとなった。さらに、ラットにおける誘発動脈瘤モデルにおいては、瘤発生部には全ての例で低せん断になっていることが明らかとなり、従来の定説に反する結果を得た。
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