研究概要 |
近年、MEMS (Micro Electro-Mechanical System)に代表される各種マイクロデバイスに関心が集まっている。マイクロセンサならびにマイクロアクチエータで構成されるMEMSの応用は、現在、医療、バイオを中心とした分野で製品化され、実用化の段階に入りつつあるが、熱流体工学に関係した分野では、試作品の検討など、実用化に至るケースが少ない。マイクロ流体工学においてMEMSが実用化に至らない理由として、流動機構の解明に不可欠な流れの観察や計測技術があげられる。MEMSデバイス周りの流れは,バッチ処理による製造技術の制約を受け、流体工学上、必ずしも、好ましい配置とならず、例えば、配線や基盤構造など、3次元構造を有し、複雑な形状、配置の影響を受けるので,流動機構の解明が必ずしも十分になされないまま、試作品が製造されることが多い。そこで、アクチュエータに対しては、短い時定数による高周波数化、センサに対しては、高精度化や高分解能化を推進する際,デバイス周りの流れの理解とデバイス設計を統合化したアプローチが求められる。以上の背景をもとに、本研究において、制御特性に優れた熱流体デバイスを得るには、マイクロデバイス周りの流れを計測するシステムの構築が必要であり、非侵襲性センシング技術の一つであるマイクロ画像処理流速計(PIV)をベースにしたマイクロセンシング風洞システムを検討している。特に、マイクロステレオPIVシステムによる3次元流れ場の計測システムの構築が進められ、イメージ解析ミクロメータを用いたカメラ校正等によりマイクロセンサ周りの3次元速度ベクトルの計測結果を得ている。併せて、マイクロジェットに関する数値計算により、低レイノルズ数流れの制御を対象としたジェットの最適化を検討している。
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