研究分担者 |
妙中 義之 国立循環器病センター(研究所), 人工臓器部, 部長 (00142183)
辻本 良信 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (50112024)
巽 英介 国立循環器病センター(研究所), 研究評価室, 室長 (00216996)
本間 章彦 国立循環器病センター(研究所), 人工臓器部, 室員 (20287428)
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研究概要 |
本研究では,補助人工心臓として用いられる超小型遠心ポンプに関して,ロータダイナミック流体力を解析することによりインペラの不安定現象に関する検討を加え,同様のポンプ設計における指針の確立を目指したものである.当研究施設で過去に開発した永久磁石カップリングを持つ遠心血液ポンプを対象として,さまざまな条件下でのインペラの変位を測定した.その結果,インペラの平均支持位置は流量が増加するにつれてポンプ出口近傍に移動すること,インペラは回転周波数の0.5-0.7倍程度の速さでふれまわり運動をすること,またこの周波数は主に軸受周囲を通過する漏れ流れの影響を強く受けることが明らかとなり,ポンプの抗血栓性のみならずインペラの不安定現象に対しても漏れ流れが重要な因子であることが明らかとなった.さらに,補助人工心臓としての実用的な運転条件として,外部より拍動流あるは流量の急閉塞をともなうような非定常流量の条件に関しても同様の計測を行い,本ポンプの場合には非定常流量がふれまわり運動に及ぼす影響はほとんどなく,定常状態を想定した設計でも問題ないことが明らかとなった.またロータダイナミック流体力測定装置に実機の7.5倍相似拡大モデルを装着しインペラ羽根車に作用する流体力を測定した.その結果,本ポンプのようなシュラウドのないフルオープン羽根にも不安定流体力が作用することが判明した.この不安定領域はふれまわり角速度比が0.7-0.8近傍で安定領域へと遷移することも明らかとなった.
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