研究計画の初年度にあたる平成15年度は、実用的なプラスチック廃棄物の選別・判別手法を確立する第一歩として、粉砕プラスチック廃棄物の連続分離装置を試作し、その性能評価を行った。それにより得られた知見は以下の通りである。 (1)加熱固体面としてヒータを内蔵した金属円筒を、押し付け面としてシリコンゴムを巻き付けた金属円筒を用いるローラー型分離装置によって、融着現象を利用したプラスチック種ごとの連続分離が可能であること、その際の融着開始温度は原理確認用の装置におけるものとほぼ同様になることが確認された。 (2)ローラー型分離装置の分別能は、加熱ローラーの温度だけでなく、加熱ローラーとニップローラーの間隙、両ローラーの回転数にも影響される。 (3)ローラー型分離装置を3段設置した連続分離装置を用いて、実際の廃家電のシュレッダーダストの分別を試みた。その結果、それぞれの加熱ローラー温度を適切に設定すれば、3段ローラーによって4種のプラスチック種が分離可能であることが示された。ただし、融着温度の近いプラスチック種の分別能は必ずしも十分ではなく、シュレッダーダスト内のプラスチック粒子径の違いに合わせてローラー間隔を設定するなどの工夫が必要であることがわかった。 (4)融着温度の近いプラスチック種の分別能を向上させるために、加熱ローラー温度を融着温度が低い方の材料がわずかに融着を始める限界まで下げ、低下する融着確率を、同一ローラー間にプラスチック材料を複数回投入する方法で改善する手法を試みた。その結果、これによって比較的分離しにくいプラスチック種であっても実用上十分な分別能で選別できることが明らかとなった。
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