研究課題/領域番号 |
15360107
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 勲 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10170721)
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研究分担者 |
齊藤 卓志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (20302937)
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キーワード | プラスチック廃棄物 / 廃棄物再資源化 / 材料選別・判別 / 融着現象 / ガラス転移点 / 軟化点 |
研究概要 |
研究計画の最終年度である平成17年度には、前2年間に構築したプラスチック廃棄物粉砕後のプラスチック材料選別装置ならびに粉砕前のプラスチック部品の材料判別装置を稼働させるに必要な、プラスチック種と融着現象発現温度・融着力の関係を実験的に検討した。具体的には、いくつかの結晶性・非晶性プラスチック材料に対して、プラスチック材料を加熱固体面に押し付けたときの引き剥がし力(=融着力)を、押し付け時と引き剥がし時の加熱面温度、押し付け荷重を変化させて計測した。その結果、以下の知見が得られた。 (1)プラスチック材料を加熱固体面に押し付け、そのままの温度で引き剥がしたとき(等温剥離)の融着力は、固体面温度がプラスチック材料のガラス転移点(非晶性材料)・軟化点(結晶性材料)を越えると急速に高まるが、それより高い温度では低下する傾向を見せる。これは、付着面近傍のプラスチック材料が軟化して、この部分での変形(バルク変形)に基づいた破断が生じるためである。 (2)プラスチック材料を加熱固体面に押し付けた後、固体面温度を変化させて引き剥がしたとき(非等温剥離)の融着力は、引き剥がし時の固体面温度がガラス転移点・軟化点以上であれば等温剥離と同様の傾向を示すが、それ以下の温度では急速に低下する。これは、プラスチック材料の固化に伴う収縮によって界面の一部に剥離が生じ、結果として融着面積が減少するためである。このことから、プラスチック材料・加熱固体面間の融着力は、固体面温度がガラス転移点(非晶性材料)・軟化点(結晶性材料)にあるときに最も強いことが明らかとなった。 これらの結果から、熱融着現象を利用してプラスチック材料の選別・判別を行うためには、加熱面温度を分離判別したい材料のガラス転移点・軟化点に設定することが望ましいと結論でき、この原理に基づくプラスチック廃棄物の選別・判別手法の具体化に有力な指針が得られた。
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