研究課題
基盤研究(B)
細胞の凍結に関連した生体の熱・物質移動の問題として、凍結に関わる要素過程である未凍結水溶液の濃縮による電解質濃度の増加(溶液効果)に注目し、非凍結低温条件において、高濃度NaCl水溶液にさらされた細胞の損傷・死滅特性を定量的に調べると共に、細胞の生存率レベルでの現象論的検討に基づいた数学的モデルを展開した。1)NaCl水溶液の灌流により、細胞(ヒト由来前立腺ガン細胞株PC-3)まわりの温度・濃度条件(25℃・等張)→(T℃・等張)→(T℃・高張(NaCl濃度C_m、暴露時間τ))→(T℃・等張)→(25℃・等張)を課し、細胞の生存率(死滅率)を計測した。Tを4〜25℃の3通り、C_mを1.8〜4.0Mの4通り、τを2〜170minの17通りで、計90通りの条件とした。2)1)の結果から、細胞の生存曲線、死滅率の確率分布関数と確率密度関数などの統計的特性、細胞損傷・死滅の特性値を求め、暴露時間、濃度、温度の影響を明らかにした。3)いずれの温度・濃度でも、細胞の生存率はτに対して単調減少し、細胞の損傷・死滅が、時間発展的に、速度論的に進行することが示された。さらに、濃度と温度が高い程、細胞の生存率は低いが、細胞死滅の代表暴露時間を用いた無次元暴露時間に対して、生存率は一つの相似分布を示し、細胞の損傷・死滅が相似的に進行することを見出した。また、その機序は同様であると示唆された。4)実験結果に基づいた細胞損傷・死滅の数学的モデル化として、細胞が、中間状態(損傷を受けてはいるが生きている状態)を経て、死の状態に至るという反応速度論的モデルを提案・展開し、細胞の生存率の実験結果に基づく逆問題解析から、反応形体と速度定数を定め、その反応速度論的特性に対する温度・濃度の影響を解明した。いずれの条件でも、本研究で提案されるモデルが妥当であることを示した。
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第43回日本伝熱シンポジウム講演論文集(発表予定)
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