研究課題/領域番号 |
15360117
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
矢部 彰 独立行政法人産業技術総合研究所, マイクロ・ナノ機能広域発現研究センター, センター長 (40358221)
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研究分担者 |
綾 信博 独立行政法人産業技術総合研究所, マイクロ・ナノ機能広域発現研究センター, 副センター長 (20356380)
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キーワード | ナノバブル / 微小空気泡 / 洗浄効果 / 微粒子汚れ / 溶存空気量 / 超音波付与 / 純水 / 高気泡内圧力 |
研究概要 |
直径がマイクロメートルオーダーのマイクロバブルについてはこれまで様々な研究がされており、気液溶解や浮上分離などの機能性を利用して環境保全、化学反応促進、水系動植物の成長促進などの技術への応用が進められてきている。これに対して、水中に存在する微粒子の数を充分に少なくした超純水を用い、超音波を付与することにより50-100nm程度以上の直径を持つナノバブルが存在できることを実験的に明らかにした。このような微小な気泡であるナノバブルが存在すると、様々な効果が期待できる。たとえば、水中でのナノバブルは気液界面の表面張力によって、数十気圧の内部圧力をもつ。もし気泡が何らかの物体に付いて崩壊した場合強い圧力波が生じることが予想され、これによる物体表面汚れの洗浄効果が期待できる。このようなナノバブルの機能を増大させるためにはより半径の小さい気泡をより多く生成することが重要であり、ナノバブル生成に影響する様々な要因のうち、水中溶存気体量および超音波周波数がナノバブル発生量に及ぼす影響を解明することを目的に実験を行った。 その結果、水中の溶存酸素量が過飽和の領域でナノバブルは観測され、発生するナノバブルの量は溶存気体量が大きいほどその発生量が大きく、空気ボンベからの空気を圧入することにより、約7000個/ccのオーダーのナノバブルを発生した。また、ナノバブルの発生数は、付与する超音波の周波数にほぼ比例して増加することを明らかにした。 さらに、ナノバブルの洗浄効果を実証することを目的に、固体表面上の微粒子汚れに着目し、シリコンウェハーに付着した直径50nm程度のアルミナ微粒子をナノバブルで洗浄する実験的研究を行い、ナノバブルを含む水を、約2m/sの流速を持つ衝突噴流の形で数十分保持することにより、体積割合で99%まで汚れ成分である微粒子を除去できる洗浄効果の生じることを実験的に明らかにし、ナノバブルの持つ洗浄機能を実証した。
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