研究概要 |
スマートセンサー、スマートアクチュエータおよびクラスター制御理論を三位一体とするスマート構造システムを構築し、当該システムの静粛化制御手法の開発と設計手順を確立すると共に、その有意性を明らかにすることを目的としている。スマート構造物とは、これまでの機械構造物とは、そのコンセプトを完全に異にし、外界の環境変動に対して、自らの仕様を自律的に改変し、絶えず最適な仕業を追及する未来型の構造システムである。本年度得られた成果を以下に示す。 (イ)振動場と音場をリンクする因子の解明〔一般パワーモードの解明〕 任意の境界条件を有する一般構造物を対象として、振動場から音場へ1対1に対応する因子「パワーモード」を導出ないしは算出する手法を確立した。すなわち、当該因子を抑制すれば必ず音響パワーが抑制される因子である。パワーモードを構成する固有関数が解析解として得られない場合は、有限要素法などの数値解析法を援用し、パワーモード算定のための設計手順を確立した。 (ロ)分布定数系センサーとしてのスマートセンサーの開発 パワーモードをセンシングするための分布定数系スマートセンサーを開発した。具体的には、PVDFフィルムを基調とするスマートセンサーの設計法を確立し、その有為性を立証した。さらにスマートセンサーの最適な設置位置を明らかにすると共に、スマートセンサーをシェービングする際の誤差と感度の関係、すなわちロバストネスを明らかにした。 (ハ)分布定数系アクチュエータとしてのスマートアクチュエータの開発 任意の境界条件を有する一般構造物において、センシングとアクチュエーションの間に相反定理が成立することを証明した。さらに、PVDFフィルムをベースとするスマートアクチュエータを開発し、これにより、分布定数系平板構造物に数多く存在する振動モードの中から、放射音響パワーの強い(1,3)モードをターゲットとするモードアクチュエータを開発し、これにより、制御スピルオーバを惹起することなく、当該モードを20dB抑制できることが検証された。
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