本研究の平成16年度の成果を以下にまとめる。 (1)導電性塑性材料による入力装置の設計・製作 前年度の結果に基づき、立方体状の導電性粘土の8頂点に端子を接続した入力装置を設計、製作した。基本的な変形操作により、精度、応答性などについての基本的な特性データを取得した。 (2)変形計算の補正アルゴリズムの考案 前記(1)により得られた導電性粘土における個々の計測値の精度の制約を前提として、3次元変形の計算を行なうための補正方法を考案した。 ・複数回の計測値の平均をとることによるノイズの影響の平滑化、一定の大きさ以下の計測値をカットする不感帯の設定などの一般的対策。 ・各計測箇所における値ではなく値の変化率を用いた、材質の不均一性や端子特性の個体差の影響の軽減。 ・端子周辺にカバーを設けることによる、変形操作が端子と近傍粘土の接触状態(圧力)に与える影響の遮断。 ・立方体状の導電性粘土の1頂点に2端子を設置し、距離変化による2頂点間の抵抗値変化と局所的条件変化による1頂点2端子間の抵抗値変化を考慮、補正した距離推定。 ・粘土の体積が一定であることを前提とした変形計算結果の全体補正。 (3)入力装置に対する塑性変形操作の基本実験 前記(2)の補正方法を取り入れて3次元形状操作インタフェースを構築し、コンピュータ内にモデル化された3次元形状に対して3次元的変形を行なえること、機構的な部品で構成させる入力装置とは異なりそれ自身が柔軟であるため非常に安全性が高い可能性があるという特長を確認した。また、本研究で使用した、本来センサとしての使用が意図されていない材料である導電性粘土による3次元変形の計測による精度や安定性の問題点、限界も確認した。
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