研究課題/領域番号 |
15360132
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
濱口 哲也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90345083)
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研究分担者 |
福井 希一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00311770)
鷲津 正夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10201162)
中尾 政之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90242007)
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キーワード | 近接場光蛍光顕微鏡 / 散乱プローブ / 集束イオンビーム装置 / 電子ビーム堆積法 / 蛍光観察 |
研究概要 |
本研究は、DNA上の特定の遺伝子に付けた蛍光分子を高分解能で観察できる近接場光蛍光顕微鏡を開発することを目的とする。そのために、まず微細付加加工・除去加工技術を用いて、任意の形状のプローブを創成する。具体的には、申請者らが独自に開発してきた電子ビーム堆積法で、直径20nm長さ1μmと高アスペクト比の微細な先端を持つプローブを製作する。また、集束イオンビーム装置を用いてサブミクロンオーダ(たとえば500nm角)の開口をプローブに加工する。さらに、加工したプローブを用いて試料の蛍光観察を行い、各入射光波長ごとに得られる画像の分解能やS/N比が最高になるように、電磁場シミュレーションによってプローブの形状を最適化して、蛍光分子を1nmと高分解能で観察できる近接場光学顕微鏡の開発を目指す。 平成15年度は、近接場光蛍光顕微鏡の散乱プローブの最適化の一環として、微小開口の形状・極細先端の形状・材質の改善を試みた。微小開口の形状は、照明光を通過する穴をできるだけ大きくしつつその中心部にプローブが来るようにするため、穴を二つに分けて、4μm×2μmと4μm×6μmの穴を500nm間隔で開けた。これを用いた蛍光試料の観察実験を通して、ノイズを減らし、光の波長以下の分解能で蛍光観察ができることを確認した。また、極細先端をさらに微細化するために、非結晶炭素ではなく結晶性炭素を電子ビーム堆積法によって生成する技術の開発を行った。結晶性炭素の最適な生成条件の検討を行い、温度が900℃、圧力が1torrであることを明らかにした。これを実現するために、電子ビームの焦点を局所的に加熱・加圧できるSEMを開発し、SEMの視野内で結晶性炭素を生成できることが分かった。 次年度以降は、引続きS/N比の改善を試みるとともに、散乱プローブの最適形状・材質を見積もるために、プローブ先端が蛍光分子に近接したときの周辺の電磁場の挙動を解析する。解析には、前述のように近接場の電磁場解析に有効なFDTD法を用いる。散乱プローブの微小開口寸法や、電子ビーム堆積で作った針の径と長さの各種パラメータを振って電磁場のシミュレーションを行い、その結果を実験で検証する。
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