研究概要 |
本研究では微小物体静電力マニピュレーションにおいて,再現性の高いマニピュレーション手法を確立する事を目的とし,最適プローブ印加電圧曲線(時間依存)の導出と電圧制御型微小物体静電力マニピュレーションの実機による実証を行った. 最適プローブ印加電圧曲線(時間依存)は,印加電圧の時間制御によってプローブからの物体離脱後,着地までの飛行プロセスを静電力で制御する事により,着地時におけ運動エネルギーを0(ゼロ)にするという条件から導出された.さらに,着地時における凝着現象のヒステリシスの存在より,着地においてあるエネルギーが吸収されることが判明したため,そのエネルギー吸収能と印加電圧曲線に対する電圧制御の許容誤差が見積もられた. 導出された最適プローブ印加電圧曲線(時間依存)を実現するために高電圧・高速応答のアンプ電源を設計した.この装置を用いて,直径30マイクロメートルの共晶金属粒子を対象として実験を行い,プローブ先端に凝着している粒子を実際に静電力によって基板上に配置することに成功した.これにより,印加電圧制御による微小物体の静電力マニピュレーション手法の有効性を実証し,本手法のIC実装などへの適用可能性を理論・実験の両面から示すことに成功した.
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