研究概要 |
1.営繭行動を模倣したロボットマニュピレータの軌道制御 観察によって得られた蚕の営繭行動を模倣するため,営繭行動を観察してそれを3つのステージに分けた.それらは足場作り,繭の外形作り,仕上げである.今年度は市販の6軸ロボットマニュピレータを用いて,特に第1ステージである「足場作り」の模倣を行った.これは,吐糸口部を対象物に倣いながら,蚕ならば絹糸に相当する構造構成用の糸を押し付けて接着していくもので,足場を作るための軌道計画と,センサフィードバックによるならい制御を実現した. 2.吐糸口部の設計・開発 昨年度までは構造構成用の糸としてガラス繊維強化熱可塑性樹脂を使用していたが,接着力,加熱冷却時間などの問題でこれを取りやめた.本年度は一般の木綿糸を芯材とし,熱可塑性であるポリ塩化ビニルを接着物質として,蚕の吐く糸を模倣した構成を行うこととした.これに伴ってロボットマニュピレータ先端に取り付ける吐糸口部を新たに設計・製作した.吐糸口部は外部リールに巻かれた木綿糸を繰り出す機構と,熱可塑性樹脂を加熱によって溶融させる装置および冷却時間を短縮するために,空気を吹き付けるエアーガンを備えている.この吐糸口部の開発により,従来のものに比べて強度および動作時間を短縮することができるようになった. 3.接触センサの開発 蚕はほとんど視力を持たず,体表面の触覚によって行動を決定している.本研究でも,吐糸口部取り付け部分に6軸力覚センサをとりつけて,接触状態を検出して制御に用いてきたが,接触部分での接触判定が重要であることがわかり,接触判定を専門に行うためのセンサを新たに開発した.これにより従来難しかった接触状態の判定および吐糸口部の対象物との距離の判定が容易になり,フィードバック制御が行いやすくなった.これに伴って動作時間を短縮することができた.
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