研究概要 |
1.超小型ナノマニピュレータの開発 これまで利用してきた透過型電子顕微鏡(日立,H-800)に加えて,新たに透過型電子顕微鏡(JEOL, JEM-2100)に装着可能な超小型ナノマニピュレータを試作した.これによりシステム全体をPCで一元管理してCCD観察を行い,さらにはEDS(エネルギー分散形X線分析装置)によるその場元素分析が可能となった.このため新たに受動ステージを設計し,位置決め特性を評価した. 2.ナノラボラトリにおける加工・成膜 単一のカーボンナノチューブ(CNT)プローブを用いて,電界電子放出を利用した電子ビーム誘起蒸着(EBID)によって成膜・パターンニングされた元素成分を分析した.W(CO)_6を利用した導電性薄膜を成膜し,EDSにより成分分析した結果,タングステン質量が98%の高純度金属の堆積物が実現できた. 3.ナノラボラトリにおける操作・組立 多層CNTの外層の一部を破壊し,内層と外層を分離したナノベアリングユニットであるテレスコピングナノチューブをTEM内で観察しながらその場作製した.透過型電子顕微鏡の高分解能・透過像観察によりこれまで困難であった作製過程を明らかにすることができた. 4.ナノラボラトリにおける計測・評価 CNTを用いた新規ナノデバイスとして,単一のCNTからのエミッション電流変化・テレスコピングナノチューブの外層と内層間抵抗値変化・基板との滑り抵抗変化を計測することによる距離センサデバイスを提案し,基礎特性を計測・評価した.特にCNTのエミッション電流特性を詳細に調べた結果,エミッション電流が線形的に変化する領域を用いることによりCNT距離センサデバイスに適した設計を行うことができることを明らかにした.
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