研究概要 |
本研究課題において,今年度は以下の項目を中心に行った. (1)脊椎ダミーの動特性評価 昨年度までの研究により,人体振動ダミーの脊椎部分は完成していた.そこで,まずこの部分の動特性を把握するための振動実験を行った.脊椎ダミーの坐骨部分から垂直方向の入力を与え,椎骨各部の垂直方向の振動伝達率を測定した.脊椎のみでは固有振動数が一致するとは考えられないので,脊椎のS字曲線特有の振動モードがどのように表れるかに着目し,脊椎の基本的な振動特性が表れていることを確認した. (2)解析モデルの構築 解析モデルについては,12自由度の脊椎モデルは構築されていたが,さらに自由度を21程度に増やし,実際の椎骨の動きを忠実に再現できるようなモデル構築を目指した.まず,直列バネ・マス系を用いて,脊椎系の振動特性の再現を目指したが,振動特性として脊椎系の詳細な挙動を表すのは困難であった.現在は,マルチボディダイナミクス(MBD)の手法により,椎骨を剛体,椎間板を回転バネ,回転ダッシュポットとしてモデル化を行っている.基本的な特性はほぼ表現できているものの,脊椎系全体を表現するのは困難な点もあり,引続き検討を進める. (3)振動ダミーの完成 脊椎系に加えて,頭部,内臓などを付加する予定であるが,まずは,臀部を含んだ人体支持構造の検討を詳細に行った.臀部については,そのバネ,減衰特性が全体の挙動に影響を与えるので,1の実験結果から,全体の振動特性を人体に近づけるためのこれらのパラメータを考察した.また,臀部の動特性については,ウレタンフォームを用いてこれを表現するので,材料の非線形特性を考慮したモデル化を行い,ダミー全体系を検討する際に利用可能なモデル作成を行った.
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