研究概要 |
1.人体脊椎系の動特性把握 着座人体に対して着座面の鉛直方向振動を与え,0〜20Hzのランダム振動入力に対する人体上体の振動伝達率を測定した.特に脊椎系について詳細に測定を行い,20Hzまでに存在する主要な固有モード特性を把握した.また加速度測定において問題となる皮膚組織の局所振動の影響除去についても検討し,補正方法を提案した. 2.人体脊椎系のマルチボディモデルの構築 1で把握した脊椎系の主要モード特性を表現可能なマルチボディモデルを構築した.椎骨を剛体,椎間板を回転バネ・回転ダッシュポットと見なしたマルチボディであり11自由度とした.これにより主要な3つの固有モードを表現することができた. 3.脊椎ダミーの作製と評価 人体脊椎系の振動影響評価を目的とした振動ダミーを作製した.人体の解剖骨格標本を基本とし,椎間板にはシリコン材を用い弾性特性を表現した.作製課程の検討から,上体質量を支える為には脊柱だけでなく,背面の靭帯や背筋,及び腹筋や腹圧等も重要であるこどが判明し,それらの構造を加えて大幅に補強した.これにより人体上体の平均質量約50kgに対して軽量ではあるが約30kgの人体振動ダミーを作製することができた.作製した振動ダミーは,人体の主要モード特性に類似した挙動を示していることを実験的に確認した.さらに脊椎ダミー作製のためのポイントとなる作製指針をまとめた.
|