研究概要 |
昨年作成した,ICPF(イオン導電性高分子ゲル)アクチュエータをマトリクス状に配置した触覚ディスプレイは,現象の再現性に乏しいという問題があったため,新たに,超音波振動を用いた触覚呈示法の研究を行った。すなわち,超音波モータの振動を振幅変調し,その表面にヒトが指を触れることにより,触感を感じられることを確認した。今後は,本超音波ディスプレイを,局所滑り覚の呈示に用いる予定である。また,これまでに開発した,局所滑り覚を検出するセンサと,これをヒトに呈示するディスプレイを接続した,マスター・スレーブシステムの構築に関する研究も行った。すなわち,これまでに開発した指紋状突起を有する局所滑り覚センサは耐久性に問題があったので,再設計した。また,本センサを二軸ステージに取り付けてスレーブ側とし,マスター側には力覚呈示装置PHANToMを用いたマスター・スレーブシステムを構築した。本システムを用いて,まず,スレーブ側に自律制御系を構築した。すなわち,局所滑り覚センサを用いて検出した局所滑り情報を用いて,スレーブ側のフィンガの把持力を制御させた。この結果,本制御系を用いれば,ヒトに物体を滑り落としそうか否かを意識させることなく,スレーブ側のシステムは自立的に把持力調整を行うことを明らかにした。今後は,本マスター・スレーブシステムを多自由度ロボットハンドの制御系に拡張し,本手法の有効性を実際的な場で確認する必要がある。
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