研究概要 |
本研究では,コミュティレベルの地域内の分散電源群を統括的に管理する電気事業体を考え,その事業体に地域内需要への電力供給の責任を分担させる枠組みを検討することを目的としている.今年度は,以下の項目について新たな知見を得ることができた. 1.エネルギーマネージメントセンター(EMC)内部の制御系の検討:需要家の分散電源と配電系統との間にEMCを導入することを考え,EMC内部の電力貯蔵装置,インバータを用いて,平常時の分散電源出力の平滑化,系統電圧制御,および系統事故時の自立運転制御のための手法を開発した. 2.各EMCのマネージメント技術の開発:需要家,EMC,電力システムを結ぶ情報通信ネットワークを用いた間接的及び直接的制御によって,EMCや需要家を系統運用に貢献させるようマネージメントする研究を行った.間接的制御については,EMCがリアルタイム料金を需要家に提示することで,EMCの利益を保証しながら負荷率を向上させ得ることが明らかとなった.直接的制御については,システム全体の負荷変動の一部をEMCに保障させることで,系統電源の周波数制御の負担を軽減させ得ることが明らかとなった. 3.各地域のマネージメント技術の開発:分散電源群と系統電源との共存形態として複数のモデルを想定し,分散電源群を適切に統合制御することで,系統全体のエネルギーや予備力供給に貢献させる枠組みについて検討を行った.特に,EMCや地域が相互に電力融通を行えるモデルにおいて,設備容量の削減や,系統電源の負担の軽減が可能であることを示した.また,需要曲線の特徴によっては,系統で一様の高信頼度を確保するのではなく,需要家近傍で適切に信頼度を管理するモデルが,より経済的であるとの知見を得た.さらに,コスト低下に伴い分散電源が導入され易い環境においては,従来の大規模電源の一部を分散電源に置き換えても,経済性は保てることが確認できた. 4.需要家コンサルティングの検討:需要家の信頼度,瞬低などの電力品質維持やコスト削減のニーズを考慮したよりきめ細かいコンサルティングサービスにより,分散電源や貯蔵装置(UPSも含む)の導入に関して,適切にマネージメントできる可能性が示された.
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