研究概要 |
本研究では,コミュティレベルの地域内分散電源群を統括的に管理する電気事業体を考え,その事業体に地域内需要への電力供給の責任を分担させる枠組みについて検討することを目的としている.今年度は,以下の項目について新たな知見を得ることができた。 1.複数のエネルギーマネージメントセンター(EMC)間の電力融通制御系に関する検討 昨年度実施したEMC間の情報交換によるEMC全体の行動のマネージメントに関する検討に引き続き,今年度は実際に相互融通される「電力」に着目して,複数のEMC間での電力融通を可能とするための具体的な制御系を構築した.また,特定の地域が基幹系統から切り離された場合に,各EMCが自立運用を行うと共に相互に電力融通を行うことで地域全体の供給を継続する必要があるが,そのための具体的な制御系についても検討を行い,インバータ制御方式の切り替えにより安定な自立運用が可能であることを明らかにした. 2.地域におけるマネージメント技術の開発 昨年度は需給面からみて各EMCや地域がどのように行動することが望ましいかについて検討を行ったが,今年度は地域間の電力融通および地域と上位系統との電力融通が市場を通した契約により自律的に行われることを前提に,市場において「どのようなルールが必要であり,どのように設計すればよいか」について検討を行い,市場シミュレーションモデルを開発した.また,電力自由化にともない予備力の確保が重要な課題となると考えられるが,予備力市場を設ける場合と委託供給に基づく場合について経済的な比較を行い,利害得失を明らかにした. 3.地域及びEMCのマネージメントの整合性に関する検討 各地域の運用者(AISO)の行動と,地域内部の各EMCの行動との整合性の観点から,AISOの行動を各EMCにいかに反映させるか,逆に各EMCの行動がAISOの意思決定にどのような影響を与えるかを明らかにした.
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