研究概要 |
1.補償器付リニア誘導モータに関する検討 1-1.磁気車輪方式端効果補償器の実験的検討 試験装置を用いて,本補償器がリニアモータに供給する電流と磁束を実測した。本モデルの解析は非常に困難であるが,市販の特殊ソフトELFによる解析値の結果は実測値とよく一致することを確認した。また,本方式ではリニアモータによる駆動によって補償器自体の動力がない(補償器駆動のための損失がない)状態でも回転させることが可能であり,その場合でもリニアモータに補償電流を供給できることを明らかにした。 1-2.単相集中巻線方式・静止型補償器の場合の全体特性 比較的解析が容易な本方式での検討の結果,補償器によってリニアモータ部に供給される電流に対して,補償器部下の二次導体中における銅損が非常に大きいことが明らかになった。この銅損は総合効率に支配的な影響を与えるものであること,また,補償器方式によってこの値は大きく変化することが明らかになった。 2.効率を重視した長い車上一次型リニア誘導モータに関する検討 2-1.安全性のために12mm程度の長いエアギャップが必要であり,効率向上に不利なこの条件はポールピッチを長くすることで緩和される。しかしながら,一方で,二次導体の幅が400mm程度に制限されるために,導体縁付近で渦電流の流れが抑制され,二次導体の抵抗が等価的に増加する。いわゆるこの縁効果のためにポールピッチを400-500mm以上にしても効率はほとんど向上しなくなる。またこの縁効果のために低滑りにおいて力率の向上が小さい。 2-2.極数を増加させると,端効果の影響を受けない極部の数が増えるために端効果の影響が小さくなり特に小さな滑りで効率の向上が大きくなる。しかしながら,力率も考慮すると時速40kmでの運転滑りは0.07以上の条件となる。この条件において,20極・約6m長以上では効率の増加割合は非常に少なくなる。
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