研究課題/領域番号 |
15360151
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木須 隆暢 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教授 (00221911)
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研究分担者 |
井上 昌睦 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助手 (80346824)
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キーワード | 高温超伝導 / YBCO / 線材 / 臨界電流 / 電界-電流密度 / パーコレーション / 分布 / 低音レーザ走査顕微鏡 |
研究概要 |
本研究は、温度、磁界、磁界印加角度、試料の微細組織等によって複雑に変化するイットリウム系(YBCO)高温超伝導線材の通電特性を明らかにすると共に、素線の電界-電流密度特性の定式化・推定法を確立し、計算機援用による素線の最適構造の解明、並びに大電流容量導体開発のための工学的設計基盤を確立しようとするものである。本年度の主な成果は次の通りである。 (1)各種製法によるYBCO線材の通電特性評価 パルスレーザ蒸着法、塗布熱分解法等、異なる製法で作製されたYBCO高温超伝導線材の電界-電流密度特性を、広い温度・磁界領域に亘り測定すると共に、筆者等の提出したパーコレーションモデルを用いて定式化した。さらに、得られた評価式の定量性に関して、30T近傍の超高磁界領域においても適用可能であることを実験によって検証した。これらのYBCO線材の通電特性は、応用機器設計のための基礎データとして高く評価された。 (2)YBCO線材中の損失発生の可視化 筆者等の開発した低温レーザ走査顕微鏡システムを用いて、線材内部の局所領域における損失発生を可視化すると共に、巨視的スケールにおける通電特性との関係並びに各種製法による特性分布の差異を明らかとした。本測定により臨界電流を制限している空間領域を特定できるため、結晶組織レベルでの制限因子解明への展開が期待できる。本年度得られた結果を基に、局所的組織観察との比較検証を行う準備を進めている。 (3)損失の空間局在に伴うホットスポットによる熱的不安定性の検討 損失分布の測定結果より、微少欠陥近傍において電界集中が起き、ホットスポットによる熱的不安定性が素線の安定性を左右することを明らかとした。レーザ光を用いた局所加熱法によりYBCO層のクエンチ現象を実験的に調べると共に、定式化した電界-電流密度特性をもと、クエンチにおける温度分布の時間発展の数値シミュレーションを行った。
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