研究課題
本研究は、先進超伝導電力機器の開発を支援することを目的に、温度、磁界、磁界印加角度、試料の微細組織等によって複雑に変化するイットリウム系(YBCO)高温超伝導線材の通電特性を明らかにすると供に、素線の電界-電流密度特性の定式化・特性推定法を確立し、素線の最適構造の解明ならびに大電流容量導体開発のための工学的設計基盤を確立しようとするものである。平成17年度の主な成果は次の通りである。(1)新たに、高磁界型低温走査レーザ顕微鏡を開発し、磁界下におけるYBCO高温超伝導線材面内の磁束フロー損失分布を詳細に調べた。磁界の増大に伴い粒内の超伝導特性が支配的となり、磁束フロー損失分布が広くなることが明らかとなった。(2)走査SQUID顕微鏡を用いた磁気イメージングを基に、電流分布の評価を行うとともに、走査レーザ熱電顕微鏡による欠陥分布の可視化を行った。電流が欠陥を迂回するように流れる様子の可視化に成功するとともに、欠陥近傍では電流-電圧特性の非線形製を反映して、電流が集中していることを明らかとした。(3)上記(1)、(2)の相補的な実験結果を基に、局所的な電流-電圧特性の評価を行ったところ、現在開発されているYBCO高温超伝導線材においては、線材内部に局在する微小欠陥が電流の集中を誘起し、線材全体の損失発生に影響を与えていることが明らかとなった。(4)応用機器設計の基礎データとして重要な、磁界下の一軸引張り・圧縮歪特性を、実験により詳細に調べるとともに、臨界電流が可逆である領域において任意条件下の特性を定式化できることを明らかとした。
すべて 2005
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Physica C 426-431
ページ: 1073-1077
IEEE Transaction on Applied Superconductivity, 15・2
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Physica C (in press)