研究概要 |
2003年度は以下のことについて実施あるいは明らかにした。 1.電気自動車用のスイッチトリラクタンスモータを開発するにあたり,このモータにおいてもっとも考慮しなければいけない振動・騒音の低減について調査・検討し,設計段階で構造的に考慮できる項目を挙げることができた。 2.本研究で使用するモータの詳細は,検討の結果,6極/4極,15kW(最大出力約40kW),基底速度4000rpm,最大速度約7000rpm程度,電圧240V,電流は4000rpm時最大で500A程度とすることが決定した。また,バッテリーは通常の鉛バッテリーとすることになった。 3.小容量スイッチトリラクタンスモータの実験システムは,モータ容量が2.2kWであり,トルク計を介して円筒低慣性型渦電流動力計を直結した試験システムを構築した。また,'このシステムを駆動制御するインバータを含めた制御システムも設置した。現在,このシステムを用いて各種の基本的な実験を行っている。 4.センサレス制御法の開発について,原理そのものは極低速度および高速領域を除いて明らかにすることができた。すなわち,(1)低速時(400rpm〜1200rpm)は回転子の回転角度に対して相インダクタンスの傾きがほぼ0になったとき,励磁相を切り替えていくことによって位置センサレス駆動が可能であることがわかった。 (2)中速領域(1200rpm〜5000rpm)では,回転子が固定子,回転子の突極対向位置を過ぎてからの領域において,電流が0となるように制御する手法を明らかにできた。この手法は,低速時と同じ手法で中速領域を運転すると固定子と回転子の突極対向状態まで励磁することになり,その後に流れる回生電流により逆トルクが発生するのを防ぐことができる。したがって,センサレス制御の速度範囲を拡張することができる。今後,早急にさらに高速な領域および極低速な領域でのセンサレス制御原理を開発する予定である。
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