研究概要 |
本年度は,次の項目において成果を上げることが出来た。 1.中速および高速における位置センサレス手法を考案し,実験システムによりその有用性が確認できた。 2.位置センサレス制御法において磁気飽和を考慮する手法を理論的に検討してきたが,その手法の有用性を実験システムにより明らかにすることが出来た。 3.電気自動車用に開発したインバータ-スイッチトリラクタンスモータ(SRM)駆動系システムにより基本的な実験を行い,基礎的なデータを獲得することが出来た。 4.本研究に付随して振動騒音低減に関して検討し,電流制御手法により騒音を低減できる事が明らかになった。 上記1では,中速時において低速時と同じ制御方式を用いると大きな回生電流による負トルクが発生し,駆動することが困難となる。そこで,突極が対向するときに回生電流が零となる制御手法を考案し,実験により有用性を確認した。また,高速時においては励磁相がオーバーラップするのでこの手法を単純に利用出来ない。そこで,新たに仮想のインダクタンスを定義し,これを用いて制御する手法を明らかにした。これについても実験によりその妥当性が確認できた。 2では,いずれの速度領域においても磁気飽和を考慮することが出来る手法を提案した。突極対向位置の自己インダクタンスが電流のべき級数で表される事を利用し,未飽和領域の場合と同じ扱いで制御できることを明らかにした。 3では,電気自動車用に開発した40kWモータとインバータとの組み合わせで基礎的な実験を行い,データを収集し,モータ開発の際の計算データとの比較などを行った。 4は,各種試験中モータ騒音がかなりのものであるのでこれを低減する電流制御手法を検討したところ,有望と考えられる手法を考案でき,有効な実験結果が得られた。 今後は,SRM搭載電気自動車の実用化に向けて,これらのシステム搭載の電気自動車により各種基礎的データを取得する予定である。
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