研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、強誘電体を用いて10〜50μC/cm^2という巨大な電荷量を自在に制御可能な新しいスイッチング素子を実現することである。この目的を達成するために、強誘電体薄膜の吟味とともに、シリコン以外のチャネル材料の利用に挑戦した。最初に、ゲート絶縁膜となる強誘電体薄膜、チャネルとなるインジウムスズ酸化膜(ITO)膜の作製と特性評価を行い、次にデバイスを試作して動作原理の検証を行った。強誘電体には、大きな残留分極が得られるチタンジルコン酸鉛(PZT)とチタン酸ランタンビスマス(BLT)を用いた。ITO薄膜をチャネルとしたボトムゲート型のトランジスタを試作し、ドレイン電流-ドレイン電圧特性を測定したところ、典型的なトランジスタ特性を得ることに成功した。特にBLTを用いた場合には、チャネル長5μmの素子において0.1mA/μmものオン電流を達成した。これは同じチャネル長のシリコンMOSFETに匹敵する値である。このオン電流から、試作したデバイスで使用している電荷量は20μC/cm^2程度と見積もられ、強誘電体ゲート絶縁膜で巨大な電荷を制御するという本研究で提案したデバイスの動作原理を実証することに成功した。さらに、チャネル長や各層の膜厚などのパラメータがデバイスの電気的特性に与える影響を詳細に調べ、また強誘電体の表面研磨をすることにより、オフ電流の劇的な低減に成功した。最終的にはオン電流10^<-3>A、オフ電流10^<-11>A程度(オンオフ比10^7以上)の不揮発性メモリ機能をもつ強誘電体ゲート薄膜トランジスタを実現することに成功した。また、ゲート電極、ソース/ドレイン電極にもITOを用いて、石英基板上に素子を形成し、可視光領域で60%以上の透過率をもつ不揮発性メモリ機能付きの透明薄膜トランジスタを実現した。
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