研究概要 |
本研究では,超臨界CO2中に有機金属を溶解させ,そのまま堆積反応を行わせることで,CVDやメッキに替わる,低コストのグリーンプロセスを構築することを目的としている。超臨界CO2は,高い拡散・浸透性を有しているので,高アスペクト構造中に容易に侵入し,金属埋め込みを行うことができる.また,分子密度を広い範囲で可変できるので,成膜速度も広い範囲で変えることができると期待される. 本法では,ステンレス製の高圧反応容器中で,原料を溶解させた超臨界CO2を所定の温度のウェハに作用させる.バッチ方式の場合,高圧容器に超臨界CO2,H2,原料有機金属化合物を基板とともに封入し容器全体を加熱する.この方法は,(1)簡便で再現性が高いものの,(2)反応中の各成膜パラメーターの決定・制御に難があり,(3)長時間堆積すると原料が枯渇するので,膜厚に上限がある。 本年度は,原料の連続供給や成膜特性の把握ができるフロー型(流通・開放系)の実験装置を試作した。本装置は主に,液体CO2の供給系,低圧(<1MPa)のH2ガスを超臨界CO2(>7.4MPa)に添加する機構,プリカーサーリザーバ,流通型反応容器,および自動圧力調整機構から構成されている。プリカーサーにCu(hfac)2を用い300℃で得られたCu膜の長手方向膜厚分布を調べたところ,原料流入方向の膜厚がやや大きいもののほぼ均一といえ,反応通度が原料濃度に依存しない0次反応となっている可能性があることがわかった。また,連続成膜によって三次元ICの貫通電極の試作にも成功した。 さらに,バリアメタルなどへの応用を意図しRu薄膜の堆積条件について検討を行い,非導電性下地上に堆積するための条件を見出した。現実の成膜工程で必要となる課題を克服できた。
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