研究概要 |
本年度は最終年度として,フロー式堆積装置を用いた反応機構解析(速度論的検討-->メカニズム議論),MEMS/NEMSプロセス開発と電子放出素子試作,酸化物堆積プロセスなどの検討を行った。 (1)フロー式堆積装置を用いたCu堆積反応機構解析:本装置は,100気圧以上の高圧の超臨界流体中での成膜パラメータを独立制御できる独自の装置である。今年度は還元剤の水素添加シーケンスを改善し,添加量を従来の3倍以上に高めることができ,その結果広範な条件下での実験が可能となった。反応の活性化エネルギーは水素濃度に依存せず約0.5eVであった。堆積速度はCu原料濃度に対し0次,水素濃度に対し1〜0次であり,Langmuir-Hinshelwood機構であることが判明した。また微細featureへの埋め込み性は水素濃度とともに改善されたが,成膜機構から説明可能である。成膜速度を高めるためには(Cu堆積計では)還元剤の吸着・解離を促進する必要があることがわかった。 (2)昨年度試作に成功した超高アスペクトピラーやナノウォールプロセスをさらに発展させ,多孔質シリカをテンプレートとした大面積ナノ凸凹構造を試作した。これはSiプロセスを用いない安価な大面積冷陰極型発光素子として有望である。 (3)本プロセスの汎用性を示すため,ZnOの堆積実験を行った。Zn(acac)2と酸素の反応によりZnOの堆積に成功した。 (4)Cu原料回収を行い,ICPによる精製前後の純度調査を行った。 以上総括すると,本研究ではフロー式堆積装置を開発し,成膜メカニズムに立脚した本法の特徴を把握することができ,高速成膜や大面積成膜への指針を立てることができた。また,NEMS用ナノパーツプロセスの開発,酸化物堆積など本法の新しい可能性を検証することができた。即ち,研究計画調書記載の内容をほぼ達成することができた。
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